ここ何年かで、「健康に良く仕事もはかどる」という理由でIT企業を中心にスタンディングデスクが導入されていますが、一方で世界では「座っているよりも健康に良いとは言えない」や「むしろ健康に悪い」という研究結果が出ています。
そこで筆者が、スタンディングデスクに関連する最新の研究結果を20以上読み、本当のところはどうなのか調査。このページでは、2018年6月時点でスタンディングデスクと健康の関連性についてまとめています。
さあ、見ていきましょう!
立ち続けることも座り続けることも健康に良くない
まずはじめに、「座り続けること」はかなり健康に悪いことが研究で分かっています。WHOも「座りすぎに注意」と世界中に向けて喚起しているくらい問題になっています。
このような時代背景があり、「座りすぎは良くないので、立って仕事しよう」という流れになっているのですが、実は「立ち続けること」が「座り続けること」より健康に良いのかどうかは、あまり検証されていません。
「座り続けること」に関係する研究はたくさんありますが、何しろ「立ち続けること」に関係する研究は少ないため、現時点でフェアにどっちかが健康に良いとは言えない状況です。
2017年の7月にオーストラリアのカーティン大学から発表された研究で、スタンディングデスクは健康に良いという一般通念をひっくり返すような結果が出ました。
被験者:20人
調査:2時間立ちっぱなしでパソコン作業を行って、それの体への影響を調べた。
結果:全身の不快感が上がり、認知機能や注意反応速度が下がった。一方で、創造的な問題解決能力は上がった。
いかがですか?20人だけの研究ですし、現実的にはこの研究のように、2時間立ちっぱなしで動かないという状況にはなかなかならないのですが、それでも「立ち続けること」に否定的な研究結果が出た、ということは事実に変わりありません。
また、この研究結果よりも数々の「座りすぎ」に対する分かっているリスクの方が大きいので、現状答えを出すのならば、やはりスタンディングデスクの方が健康に良いという答えになります。
スタンディングデスク+運動が一番体に良い
座る時間が長いと、心臓血管系の病気・肥満・糖尿病のリスクが2倍になると分かっています。また、立っているときの椎間板(脊柱の間に挟まっている軟骨)の負担を100とすると、座っているときの負担はなんと140もあると言われています。つまり、座っている方がヘルニアや腰痛などの症状を起こしやすいのです。
同時に、先ほどの「立ち続けること」が仕事能率を下げたり、メンタルヘルスに悪い影響を与えてしまう研究結果を踏まえると、現状一番健康に良い方法は以下のようになります。
スタンディングデスクをメインデスクとして使い、適度に体を動かす
座りすぎによる健康リスクを避けるという意味で、立ちデスクを中心に使う。そして、立つのに疲れたり気分転換をしたいときに座るタイプのデスクに切り替えたり、30分に1回はつま先立ちなどをしたりして体を動かす。
現在座るタイプのデスクを使っている人でも、それとスタンディングデスクを並行して使うことで、無理なくより健康的なデスクワークをすることが可能になります。また、どんな机を使っているかに関わらず、こまめに体を動かすことで、病気のリスクを下げましょう。
座っているのと比較すると、長い目で見て立ちデスクはかなり多くのエネルギーを消費します。座っていると退化するだけの筋肉が、立位姿勢だと使われるためです。立って仕事をするだけで、無意識のうちにダイエットができるので一石二鳥です。