ゆるい運動

スタンディングデスクの効果

座って仕事や勉強をするのが当たり前な現代人にとって、立って作業をするだけで良い効果が得られるなんて信じがたいことです。

筆者の場合、立って仕事をしだしてから集中力アップや腰痛改善など、さまざまな効果を実感しています。

ここでは、世界中の研究で分かったスタンディングデスクの効果と、座り続けることの健康への影響について解説しています。

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研究で分かったスタンディングデスクの効果

結論からお伝えします。筆者が世界中の文献を調査しましたが、「立ち続けること」が「座り続けること」より圧倒的に体に良いという研究結果はありませんでした。

参考に、2つの文献を見てみましょう。

カナダのウエスタン大学の研究結果

大学生を対象に、座るタイプのデスク・動く要素がある座るデスク・スタンディングデスクをランダムに3分間づつ使ってもらい、タイピングと記憶のテストを行った。

結果→違いが見られなかった。

アメリカのカリフォルニア大学の研究結果

96人の被験者が、座るタイプのデスクとスタンディングデスクを使って、30分間、読解力と創造力を試すテストをした。さらに、自己申告でテスト中の気分・主観的な努力量・タスクの難易度・どちらのデスクの方が良かったかを聞かれた。

結果→一部例外をのぞき、違いが見られなかった。

※例外・・・スタンディングデスクを使っていたときに注意力とやる気が上がり、タスクの出来が良かった。また、立っていることは座っているときと比較すると、不快感が少し高かったという被験者もいた。

長時間立っている研究は見つからなかったのですが、この2つの研究では「特にスタンディングデスクが何かに効果的というわけでは無い」という結果が出ています。

では、このように「立ちデスクが特別良い」と証明されていないのにも関わらず、なぜこれほどまでに「使うと良いよ!」とされているのでしょうか?

座り続けることはタバコ並みに健康に悪い

煙草

スタンディングデスクの優位性がハッキリしていないのに、GoogleやFacebookなどのIT企業にも導入され続けているのには理由があります。

それは、現代人の座る時間が長すぎることにあります。驚くべきことに座る時間が長いと、心臓血管系の病気・肥満症・糖尿病のリスクがなんと2倍に。また、大腸がん・脂質異常症・うつ病・骨粗しょう症などの病気にもかかりやすくなってしまいます。

つまり、スタンディングデスクを使い続けること自体が「とても効果がある」とは証明されてはいないけれども、今分かっている恐ろしい「座りすぎの悪影響」を考えると、立った方が良いよ、とされているのです。

スタンディングデスクは腰の負担が少ない

ちなみに筆者の場合、スタンディングデスクに変えてから腰痛が無くなりました。長時間座っていると、長時間腰を曲げていることになります。そうなると、腰周りの関節や筋肉に異常に負担がかかり、それが塵も積もれば山となるでヘルニア等の原因にもなります。

それに対して、スタンディングデスクは体を一直線にして作業をするので、腰を曲げなくても済みます。個人的には、この違いだけで、スタンディングデスクは腰痛対策として良いのではないかと思います。

立ちデスク歴1年半の筆者は効果を実感

筆者は、かれこれ1年半、立ちデスクを使っています。主観にはなりますが、この1年間で感じたスタンディングデスクの効果は以下のようなものです。

  • 肩こりが無くなった
  • 腰痛から解放された
  • 午後の眠気を感じなくなった
  • 座っているときより集中力が続く気がする

座って仕事や勉強をしているときは、ひどい肩の倦怠感と腰痛がありましたが、立って作業するようになったらそれらの不調が無くなりました。

また、15分の仮眠を取ったとしても襲ってくる、午後の異常な眠気から解放されました。立ちデスクで寝ることはそもそもできませんので、その環境がそうさせてくれているのだと思います。

さらに、前より集中力が増し、メリハリをもって仕事や勉強をすることができるようになりました。

なお、筆者は1日8時間はスタンディングデスクで作業していますが、少なくとも30分にに1回は足踏みをしたり、軽く歩いたりして血流を回しています。こうすることで頭に血流が行きわたり、より集中力が増す感じがします。

どんなデスクであれ、良い姿勢を保ってこまめに体を動かすことが大事

これまで、スタンディングデスクの効果について研究結果をもとに解説してきましたが、いかがでしたか?

スタンディングデスクに良い効果があるとは証明されていませんが、判明している座り続けることの危険性を考えると、スタンディングデスクを使おうというような動きになっているとお話してきました。

極論を言うと、座っていようが、立っていようが、「し続ける」ことが問題。ずっと同じ姿勢でいると、体の一部の筋肉や関節に負担がかかりすぎたり、血液がうまく流れなくなってしまうためです。つまり、どんなタイプのデスクを使うのかに関わらず、姿勢や重心の位置に気を付けたりして、動くように心がけることがポイントです

もちろん筆者は、スタンディングデスクの効果が実際に感じられたので、あなたにも利用をおすすめしますが、「現実的に導入が難しい」場合もあるでしょう。そんな場合であっても、正しい姿勢で座るようにしたり、30分に1回立ち上がるなどの運動を取り入れたりして、こまめに動くことを心がけてみましょう。

参考文献

P34. The Effects of Standing Desks on Classroom Performance of University Students
https://ir.lib.uwo.ca/wrf/2017/poster/34/

Taking a Stand: The Effects of Standing Desks on Task Performance and Engagement
http://www.mdpi.com/1660-4601/14/8/939

Physical inactivity a leading cause of disease and disability, warns WHO
http://www.who.int/mediacentre/news/releases/release23/en/